研究開発

ダブルベルトプレス

ダブルベルトプレスを用いたスタンパブルシート連続製造技術の開発

我々は熱可塑性CFRPの中間基材である熱可塑性スタンパブルシートの連続製造技術をダブルベルトプレス(DBP)装置を用いて研究してきました(Fig. 1)。特に本研究で用いたローラープレス方式のDBP装置は、ベルト間のGapを制御することで成形中の含浸進行に伴う基材の厚さ変化に追従できるため、不連続繊維や厚肉の基材に対応が可能です。

スタンパブルシート製造プロセスの最適化のためには、熱可塑性樹脂の含浸挙動の解明が重要です。我々は実験、理論、シミュレーションを通してそれに取り組んでいます。Fig. 2にはIPCO(株)と開発したDBP成形中の含浸進行を予測するツールを示します。これはDarcy則にもとづく含浸モデルと熱伝達モデルを組み合わせたものです。また、Fig. 3に示すようにローラー直下では樹脂は複雑な含浸流動挙動を示します。そこでモデル実験を構築し、さらに含浸解析ソフトPAM-RTMを用いたシミュレーションによってプロセス条件の最適化に取り組んできました。

スタンパブルシートの高速成形に向けてDBP装置の改良も実施してきました。誘導加熱(IH)技術を活用して、スチールベルトを高速昇温させるユニット(Fig. 4(a))、及び炭素繊維基材自体をダイレクトに加熱する連続予熱装置(Fig. 4(b))をIPCO(株)と開発導入してきました。これによって1 m/分のベルト速度の成形を達成しました。