研究活動・成果

次世代インフラ

No.3グラウンドアンカーおよび斜面の効率的な維持管理モニタリングシステムの開発

概要

軽量,高強度,高剛性,および腐食しない材料である炭素繊維材料と,この材料と親和性が高く,劣化しにくく長寿命である光ファイバセンサに着目して,支圧板とアンカーロッドを作成し,緊張力変化,劣化部位の把握,および斜面をモニタリングできるシステムを構築します。
COIで開発を行った革新的な材料と製造技術の結果であるCFRTP支圧板と京都大の光ファイバセンサのモニタリングシステムにより,グラウンドアンカーの軸力を長期間モニタリングできるようになり,少子高齢化で困難になることが予想されるインフラの維持管理を長期視点で実施するという考え方に変えるができるようになりました。

適切なモニタリングの実施により,グラウンドアンカーが老朽化に伴って破壊・破断する前の予兆を捉えて,斜面・法面を形成する地山の動きを把握することで,地すべり・斜面崩壊を予期することが重要である。グラウンドアンカーは地山の動きにより力が掛かるため,グラウンドアンカーのモニタリングをすることは斜面のモニタリングにも繋がります。グラウンドアンカーのモニタリングでは緊張力変化,アンカーロッドの劣化部位とその程度,地山のモニタリングでは地下水位の変動以外に,地表面変位量,地中移動量が重要なパラメータとなるため,その全てを包括的に収集・解析することを試みました。しかし現行では,地表面変位量のモニタリングや,グラウンドアンカー工を監視する機械式緊張力遠隔モニタリングは存在しますが,両者を同時に実施できるシステムは存在しません。両者を同時に実施できれば,データ収集システムや計測システムが簡素化されるため,システム運用が容易となります。また,現行の地中移動量モニタリングにはボーリング調査が必要なため,足場の危険な斜面・法面における実施は容易ではありません。加えて,上述した機械式のモニタリングで用いられる荷重計は,装置自体のメンテナンスも必要となります。
そこで本研究では,従来は困難であったグラウンドアンカーの緊張力変化と劣化部位,地山の地表面変位量と地中移動量の双方に対しての長期間同時遠隔収集(オンデマンド計測)を可能とする,光ファイバセンサを具備した炭素繊維強化熱可塑性樹脂(Carbon Fiber Reinforced Thermo Plastic, 以下「CFRTP」と略する)製グラウンドアンカーロッドと支圧板を新たに開発します。