研究活動・成果

次世代インフラ

No.2建築向けFRPパネルの開発・耐火構造評価方法開発

概要

FRP床版は建築構造の軽量化に寄与するため、ユーザの要望にも大きなものがあります。しかしながら、従来の耐火構造に関する大臣認定の手順では開発期間の長期化や開発コストの増大などメリットがありません。
 そこで、本COI事業においては、FRP床版に対する耐火構造の評価として、耐火試験と構造試験に分けて実施することが大きな特徴となる新規耐火構造評価手順を検討し、大型高温構造試験の導入、各種実証試験を行い、その合理性の検証を実施しています(COI終了後も継続します)。

建築分野の高層建築に適用する床版の軽量化は、部材の運搬を容易にし、少子高齢化による職人の減少に対して省人化にも寄与します。また、耐震構造等の基礎工事の軽減を可能にします。 FRP床版(構造パネル)は、建築構造の軽量化を実現することが可能なため、建築分野のユーザからは大きな期待が寄せられています。
しかしながら、従来の耐火構造に対する国土交通省の大臣認定の試験手順は鉄筋コンクリート構造に対する評価手順がベースとなっており、FRPの耐火性評価を同様の手順で行っても、材料の耐火性能の評価と中規模な構造評価、最終的な大臣認定試験の関連性が低く、トライアンドエラーの世界に入り込み、大臣認定を取得するまでの開発期間が長くなる可能性が高く、開発コストが増大する可能性があります。
そこで、本COI事業では新規耐火構造試験方法の検討に取り組みました。
FRPパネルに対する耐火構造の評価は、耐火試験と構造試験に分けて評価することが大きな特徴です。耐火試験は、小型もしくは中規模炉にて、ISO 834に準拠した加熱下(2時間耐火基準等)で耐火被覆材の評価及びFRP床版の耐火被覆材界面の温度上昇曲線を取得します。一方、構造試験はFRPでは一般的なクーポンレベルの各種強度試験を耐火試験で得られた上限温度、火災発生初期の温度上昇中を模擬して実施します。また、実大構造もしくはハーフサイズレベルのFRP床版を耐火試験で取得したFRP床版と耐火被覆材界面の最大温度を模擬した環境で載荷し、要求事項である最大たわみ量及び最大たわみ速度を評価します。

現在、それらの試験結果の合理性の検証実施しており、将来的には、FRPの材料を変えてもクーポン試験で、耐火被覆材を変えても小型炉で耐火構造試験の結果予測が可能となり、大臣認定を取得するまでの開発期間を短縮、開発コストの軽減を図ることを目指し、開発を継続します。
導入した大型高温構造試験装置は長さ3200㎜×幅600㎜×最大高さ350㎜規模のFRPパネルに対して250℃程度まで熱暴露を行うことが可能です。