研究活動・成果

革新製造技術

No.9CFRTP材のロールフォーミング技術の開発

概要

COIでターゲットとする大型のインフラ構造では、共通部材として長尺の構造部材が必要となります。そこで本研究では、熱可塑性の特徴と自社で保有する金属の加工技術であるロールフォーミング技術を組み合わせた高速の連続成形技術の確立を目指して研究開発に取り組んでいます。熱可塑性CFRP(CFRTP)材料のロールフォーミングでは、素材に成形可能な柔軟性を持たせる「加熱工程」、成形ロールにより賦形する「成形工程」、形状保持のための「冷却工程」を連続プロセスとして成立させる要素技術が必要であり、その確立を進めています。

ロールフォーミングは一般的に複数のロール間に薄い金属板材を通過させながら少しずつ形状を付与する加工技術で、一定断面の長尺部材製造に適しており高い生産性を兼ね備えています。弊社ではこの技術をCFRTP板材の加工適用に向け、研究開発に取り組んでおり、大型のインフラ構造で必要となる長尺の共通構造部材を始めとし、一般産業・自動車・航空関連分野等への社会実装を目指しています。
CFRTP材料は常温では金属材料のように塑性加工ができないため、熱可塑性樹脂の特性を生かし材料の加熱により成形可能な柔軟性を持たせる「加熱工程」、加熱により軟化した材料の温度を保持した状態で、複数段の成形ロールを通過させ、賦形を行う「成形工程」、成形した材料を複数段の冷却ロールにより冷却固化し形状を固定させる「冷却工程」を連続的に備えた装置を開発し、CFRTP材料のロールフォーミングを可能としています。現在、引抜き成形では達成困難な5m/minの高速成形を実現しており、更なる高速化も検討を進めています。材料に関しては繊維の種類や配向、またマトリクス樹脂の種類によって自由に設計できるため、弊社では主に平織CF/PA6シートの積層材を扱いノウハウの蓄積を進めています。その他、成形を実施した材料としては、綾織シートの積層材やCFRTPシートを適当な長さで切断したチョップ材をランダムに配向した積層材、UDシートの積層材、マトリクス樹脂についてはPA6以外にPA66、PP、PEEK系等が挙げられます。形状に関しては、主にハット形状の成形を行い、評価を進めています。